商品ページ:二重の鍵 [DVD]
シャブロルが初めてスリラー・ジャンルを演出した、記念すべき作品。
彼にとって初のカラー作品でもあり、その特異な色彩設計も見どころの一つ。
アメリカ人作家スタンリー・エリンの原作に基づく、クロード・シャブロル監督初期の意欲作。その後スリラー・ジャンルで偉大な業績を築き上げることになるシャブロルにとって、本作は同ジャンルを手がけた初の作品である。同時に本作は、彼にとって初のカラー作品でもあり、色彩実験的にも興味深い試みがなされている。若きシャブロルの映画作りに対する野心的意欲は、劇中二カ所に登場する、回想場面の斬新な使用にもうかがえる。
南仏エクサン=プロヴァンス郊外の邸宅を舞台に、隣家の若い娘を愛人とする当主、主人の裏切りに気づきながら耐える妻、母親離れできない長男、おとなしい長女とその婚約者の粗野な若者らが織りなす一見平穏な、しかしその水面下では一触即発の日常。そんなある日、諍いの元である愛人が他殺体で発見される……。
さまざまな技巧を駆使した多彩な映像表現で、ブルジョア家庭の内部に潜む偽善をえぐり出す、極彩色の歪んだ心理スリラー。本作に次いで『勝手にしやがれ』(ジャン=リュック・ゴダール、59)に主演することになる、ジャン=ポール・ベルモンドの奔放な演技見もの。『勝手にしやがれ』で演じた、傍若無人な若者ミシェル・ポワカールの原型がここにある。